知床半島は、北海道の東側に突き出した北側の半島で、先頭から半島の半分が未開の原生林となっています。また半島の西側が斜里町・東側が羅臼町となっています。昭和39年は、国立公園に指定されました。その後、平成17年には日本国内では3番目の世界自然遺産に登録されました。知床の名前は、アイヌ語の「シリ・エトク」(意味:地の果て・大地の終わるところ)に由来しています。
■知床国立公園と世界自然遺産について
知床国立公園は、昭和39年に登録され平成17年に世界自然遺産の登録のために現在のように周辺の沖合3Kmの海域が国立公園に追加されました。そのため現在では、およそ6万ヘクタール(陸地はおよそ38600ヘクタール)となっています。
世界自然遺産に登録されている地域は、国立公園指定地域の他に遠音別岳(おんねべつだけ)原生林を合わせた7.1万ヘクタール(陸地はおよそ48700ヘクタール)となっています。世界自然遺産の登録については、知床半島の原生林の貴重性だけでなく、オホーツク海から南下してくる流氷がもたらすアイスアルジーとよばれる植物性プラントンなどにより栄養豊かな海と、多くの川が周辺の海に流れ込むことによる陸地と海の生物の多様性が評価されたといわれています。
■知床の野生動物について
知床半島には、北海道に生息するすべての動物がいるといわれています。
知床半島に行って最初に目にする動物は、エゾシカだと思います。以前は知床に行けばほぼ100%の確率でエゾシカを見ることができました。世界自然遺産に登録した当時は2000頭前後が生息していたと言われています。しかし現在ではエゾシカの食害による自然破壊が問題となり頭数管理が行われ、2018年の調査ではおよそ700頭のエゾシカが確認されています。
お客様から一番見たいといわれる動物は、ヒグマです。ヒグマはご存知の通り冬眠をするため冬の期間は見ることができません。夏の期間は、木の実などを食べているため森の中にいることが多く、出会える確率はあまり高くありません。一番見ることができるのは、秋になります。冬眠に向けて栄養を蓄えるため、知床の多くの川に遡上するサケ・マスを狙って河口付近に現れることが多くなります。知床半島にはおよそ550頭のヒグマがいるといわれています。
ヒグマの次にお客様から見たいといわれるのがキタキツネです。夜行性のため日中に会えることはあまりありません。しかし知床では野生動物を見るナイトツアーが行われています。またキタキツネは、夏と冬で毛が生え変わります。夏のキタキツネは、痩せこけて見えますが、それが普通の姿なのでかわいそうと思っても絶対に餌はあげないでください。
これらのほかにも知床には、エゾリスやシマフクロウなど多くの動物が生息しています。また羅臼と国後島の間の海では、ザトウクジラやシャチなども見ることができます。
また流氷とともに南下してくるオオワシやオジロワシの越冬地にもなっています。
■知床の開拓 と「しれとこ100平方メートル運動の森・トラスト」について
知床の開拓は、大正3年に農家の4戸が岩尾別原野に入植したのがはじまりといわれています。その後60戸まで増えまたが大正8年以降に大発生したバッタの食害が相次ぎ、大正14年までには全ての入植者が離農したといわれています。昭和13年に第2次入植がはじまり北海道の訓子府(くんねっぷ)から集団入植しました。昭和20年台には宮城県などからも入植が行われました。しかし知床の自然の厳しさだけでなく、開梱する土地の地中に石が多く開墾に向かない土地であることがわかり、昭和48年までにはすべての入植者が離農しています。
しれとこ100平方メートル運動の森・トラストは、斜里町が行っているナショナルトラスト運動です。一口5000円で寄付を募り、集まった寄附金で開拓された土地を買い取り、その買い取った土地を開拓以前の自然の森に戻すための活動に使われています。
しれとこ100平方メートル運動の森・トラストの公式ホームページはこちら。
知床半島の見所については、知床半島②をご覧ください。